投資の配分割合ってなに?リスク許容度から考える資産配分
資産運用にあたり、【長期・分散・積立】は基本的なことであるものの、資産配分の割合には正解がありません。
とはいえ多くの人が「どんな割合で資産配分をするべきなのか」について悩むはずです。
とくにこれから投資を始める人にとっては大きな課題でしょう。
この記事では、リスク許容度の観点から資産配分の決め方について触れていきます。
リスク許容度とは
人それぞれ自分に合った資産の配分割合は異なります。
なぜなら人によってリスク許容度が異なるからです。
ここでいうリスクは、値動きの大きさを指します。
つまりリスク許容度というのは、値動きの大きさをどこまでガマンできるかを意味します。
なおリスク許容度に影響を及ぼすのが、つぎのような項目です。
- 年齢
- 家族構成・ライフスタイル
- 収入や資産状況
- 投資の知識や経験
- 投資目的
- 価値観・考え方
たとえば年齢だと、若いほうがリスク許容度は高くなる傾向にあります。
理由はシンプルで、失敗しても先が長いからです。
家族構成やライフスタイルは、単身世帯やこどものいない世帯ではリスク許容度が高いです。
逆に小さな子どものいる家庭や高齢無職世帯はリスク許容度が低くなる傾向があります。
リスク許容度の考え方
リスク許容度は、【どのくらい減っても我慢できるのか】という考えのもと決めましょう。
たとえば国内株式の場合、大きく値動きするときは、1年間で40%~50%も値上がりしたり値下がりしたりします。
もし投資資金が100万円で、全額を国内株式に投じて、マイナス50%まで大きく値動きしたとしましょう。
例のとおりマイナス50%だと、100万円が50万円くらいまで減ってしまう可能性があるのです。
つまり上記のようなマイナスをガマンできるのかという話です。
「一気に50万円も減るのはガマンできない…」
「25万円くらいならガマンできるかも」
上記のように感じ方は人それぞれですが、上記のような場合だと、100万円を投じれる状況でも国内株式への投資は50万円くらいにしておくのがいいでしょう。
残りの50万円は、値動きの小さい国内債券や預貯金などに回しておくのが無難と判断できます。
いくらまでならガマンできるかという度合いに応じて、値動きの大きい株式の割合をどの程度にするのかを決めると配分を考えやすいです。
リスクを取らなければリターンを得られない
前項でリスク許容度の考え方について解説しましたが、なかには「1円でも減るのはイヤ」という方もいるかもしれません。
しかし資産運用の大原則として、リスクを取らなければリターンは得られません。
減るかもしれないリスクを取って投資するからこそ、リターンが得られる可能性があるのです。
実際にお金が減る場合もあります。
しかしお金が減ったという事実を受け入れて、はじめてリターンを得る権利が発生します。
昨今のインフレや円安によって、すでに実質的に円資産の価値は目減りしています。
見た目の金額にこだわりすぎると、今後もインフレや円安が続いた場合、投資した人としなかった人でこれまで以上の格差が広がるでしょう。
自分に合った配分戦略
自分に合った配分戦略の簡単な考え方は、【自分の全財産のうち、どのくらいの割合で株式を持つか】です。
国内株式や外国株式は、◯◯ショックなどと呼ばれる金融ショックが起きると暴落して、1年で40%~50%下がる場合があります。
このような値動きが大きくなりがちな株式だと十分理解して、投資割合を決めるのが重要です。
なお投資初心者の場合は、次に紹介する用語の意味を知っておきましょう。
- ポートフォリオ
- アセット・アロケーション
ポートフォリオ | アセット・アロケーション |
---|---|
商品一覧 | 似ている商品性のカテゴリー分類 |
次項で順番に解説していきます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、もともとは書類カバンのような意味合いです。
さまざまな書類が入ったカバンのように、異なる資産や商品を組み合わせて保有している状態、または全体のことを指します。
たとえばスーパーで買い物をしたときの買い物かごをイメージすると、牛肉・鶏肉・卵など、さまざまな食材が入っていますよね。
つまりポートフォリオとは、買い物かごに入っている商品一覧のようなものです。
アセット・アロケーション
アセット・アロケーションとは、資産配分のことを言います。
あまりなじみのない言葉ですが、先のどの買い物かごに例えると、買い物かごの中に入っている商品の【カテゴリー分類ごとの配分割合】です。
たとえば買い物かごの中で、肉類だと牛肉・鶏肉を合わせて全体の30%。
野菜ならきゅうりとほうれん草で20%という感じです。
将来の運用成果の9割はアセット・アロケーション次第
米国の研究によれば、将来の運用成果の9割は、アセット・アロケーションで決定づけられるという結果が出ています。
つまり国内株式Aファンドと国内株式Bファンド、どちらに投資するのかといった銘柄選びや売買のタイミングよりも、ポートフォリオ全体の何%を国内株式に配分するかがよっぽど重要なのです。
ポートフォリオ全体の20%を国内株式にするのか30%にするのか、資産配分の割合をどうするのかだけで、将来の運用成果の大半を占めます。
まとめ
投資において、資産配分の割合には正解がありません。
そのためどのような配分割合にするか、自分に合った正しい配分なのか理解できず、悩むこともあるでしょう。
この記事の結論としては、リスク許容度からアセット・アロケーションを決め、戦略を立てるのが重要です。
リスク許容度は個人によって幅があるため、恋人やパートナーでも感覚が違うはずです。
将来に向けた資産形成なら、リスク許容度のおもな項目である以下に注目し、考え話し合いましょう。
- 年齢
- 家族構成・ライフスタイル
- 収入や資産状況
- 投資の知識や経験
- 投資目的
- 価値観・考え方
結婚などを機にライフスタイルが変わる可能性はあるので、将来を考えるきっかけにしてもらえると嬉しいです。