iDeCo・NISAどちらから始めるのがいい?

「資産運用を始めるならiDeCoかNISAどちらが優先?」

「どちらのほうが効率よくお金を増やせる?」

これから資産運用を開始する方は、上記のような悩みがあるのではないでしょうか。

とくに余裕資金の少ない方は「どちらの優先度が高いのか」と気になります。

iDeCoとNISAはそれぞれ異なる特徴やメリット・デメリットがあります。

働き方によっても優先度が変わるため、ケースバイケースです。

悩んだらiDeCoから先に使う

結論、iDeCoから先に使う方が有利です。

NISAは投資の値上がり益や配当に一切税金がかかりません。

そのため非常に大きな魅力があります。

しかし逆に言えば、NISAは値上がりしなければ、利益が出ない限り非課税のうま味を感じにくい制度と言えます。

いっぽうiDeCoは、運用で利益が出なくても掛金を納めただけで、運用とは別の場所で税金が安くなるからお得な制度です。

そのためまずはiDeCoから先に始めようという結論になります。

iDeCoは税制面で3つのメリットがある

iDeCoには税制面で3つのメリットがあります。

  1. 毎月の掛け金がすべて所得控除の対象
  2. 運用期間中の値上がり益や配当が非課税になる
  3. 退職所得控除の税制優遇

それぞれ順番に詳しい内容を解説していきます。

毎月の掛け金がすべて所得控除の対象

iDeCoでは、所得控除を受けられるという魅力があります。

簡単に言うと、所得税や住民税が安くなるというものです。

超低金利時代の今は、定期預金をしても利息はほとんどゼロに近い水準です。

場合によっては口座管理手数料のほうが高く、手数料割れになるケースもあります。

しかしiDeCoに入ると、役所から「毎月出している掛金の分だけ、あなたの収入が少なかったことにします」と特別扱いしてもらえるのです。

したがって所得税や住民税が安くなり、節税効果が大きいため、家計にプラスになります。

運用期間中の値上がり益や配当が非課税になる

iDeCoの掛金は、つみたて期間中、投資信託で運用することになります。

ポイントは運用で得た利益や分配金に、税金が一切かからない点です。

通常、投資信託で金融商品を運用して得た利益や分配金には、20.315%の税金がかかります。

iDeCoなら運用中に得た利益を、まったくの非課税でそのまま再び運用に回せます。

福利効果を存分に発揮できるため、非常に大きなメリットです。

なお税金がかからないという点においては、NISAも同様です。

退職所得控除の税制優遇

iDeCoは60歳以降につみたてた年金を引き出せるのですが、引き出す際にも退職所得金、公的年金控除として手厚い税額控除を受けられます。

紹介した内容をまとめると、iDeCoでは以下の項目で節税ができます。

  • 掛金が全額控除の対象
  • 運用益・分配金が完全非課税
  • 受け取るときも手厚い控除がある

以上のメリットから、まずはiDeCoの枠を埋めて、さらに余裕があればNISAに挑戦という流れがおすすめです。

ただし働き方によってケースバイケースです。

続いて働き方が異なる場合に優先すべきなのはどちらかを見ていきましょう。

働き方の違いによるおすすめ

前述したとおり、iDeCo・NISAどちらを優先して始めるかは、iDeCoからというのが結論でした。

しかしあなたの働き方によっては、NISAを優先して始めたほうがいいケースもあります。

たとえば企業型の確定拠出年金(以下DCと表記)に加入している人などです。

以下に当てはまる場合は、NISAを先にはじめるのがおすすめです。

  • 専業主婦(主夫)
  • 企業型のDCで上限額まで掛金を出してくれている
  • 会社のDCでマッチング拠出をしている人

専業主婦の人もiDeCoを始められますが、所得税を納めていないため所得税控除という最大のメリットが活かせません。

また企業型DCで上限額まで掛金を出している、またはマッチング拠出をしている場合は、iDeCoに加入できません。

そのため上記に該当する場合は、NISA一択というわけです。

iDeCoは優れた制度ですが、60歳までお金を引き出せないという弱点もあります。

いっぽうNISAはいつでも現金化が可能なので、急にお金が必要なときに対応できます。

2つの非課税制度で性格が異なることを、あらかじめ知っておきましょう。

iDeCoをはじめる際の注意点

この記事では、結論としてiDeCoを先に使いましょうとお伝えしています。

これからiDeCoを利用していくなら、あらかじめ把握しておきたい注意点が2つあります。

  • 職業によって掛金の上限が異なる
  • 自分御掛け金の上限確認

上記2点は、iDeCoを始めるまでに、知っておきたい内容です。

それぞれ詳しく解説していきます。

職業によって掛金の上限が異なる

iDeCoは自営業者か会社員か、会社員でも企業年金があるかないかで月々つみたてられる掛金に上限が設けられています。

なおもっとも高額のつみたてができるのは、自営業者・フリーランスの人で、月々68,000円です。

以下の表に、職業別に掛金の上限額をまとめています。

加入状況
(職業)
職業例 掛金の上限
第1号被保険者 自営業者等 月6.8万円
(年81.6万円)
第2号被保険者 企業年金に加入していない会社員 月2.3万円

(年27.6万円)

企業型DCのみに加入している会社員 月2.0万円

(年24万円)

上記以外の会社員 月1.2万円
(年14.4万円)
公務員 月1.2万円
(年14.4万円)
第3号被保険者 専業主婦(夫) 月2.3万円

(年27.6万円)

任意加入被保険者 60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合などで60歳以降も国民年金に加入している方など 月6.8万円

(年81.6万円)

自分御掛け金の上限確認

金融機関にiDeCo口座の開設申請をすると、会社員の場合【事業所登録申請書兼2号加入者に係る事業主の証明書】という書類が送られてきます。

勤務している会社の総務部など担当部署に、送られてきた書類を記入してもらうと、自分の掛金額の上限がいくらかわかるので確認しておきましょう。

NISAとiDeCoの併用で上手に活用

投資をする目的が仮に老後資金のように、ある程度まとまったお金を作るためであれば、iDeCo・NISAだけでは難しいかもしれません。

iDeCo・NISAどちらかだけでなく、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて併用するのがおすすめです。

老後2,000万円が話題になり、老後には大きな金額が必要になります。

介護や病気などのことを考えると、2,000万円では足りない場合もあるかもしれません。

老後の資産形成のために活用されるつみたてNISAとiDeCoですが、毎月積み立てられる金額はそれぞれ約3万と2万程度。

運用の成果が得られるとはいえ、老後の資産を形成するには少し心許ない金額です。複利効果を得るための運用期間も十分ではありません。

できれば、2つを併用してできるだけ長く運用をしていくことが、運用の成果を得られるための近道といえるでしょう。

まとめ

iDeCoとNISAどちらを先に始めるか迷った場合は、以下のメリットがあるiDeCoを先にはじめてみましょう。

  • 毎月の掛け金がすべて所得控除の対象
  • 運用期間中の値上がり益や配当が非課税になる
  • 退職所得控除の税制優遇

ただし専業主婦(主夫)や企業型DCに加入している方は、状況によってはNISA一択の場合があります。

また余裕資金が貯まれば、iDeCo・NISAを併用して、将来に向けた資産形成の成果が得られやすくなります。

資産運用の第一歩で迷っているなら、まずはiDeCoを利用してみませんか。